宇宙と未来の歯医者を目指す

2025年7月
  • 夜横になると歯が痛む理由とそのメカニズム

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    「昼間はそうでもなかったのに、夜ベッドに入って横になった途端、歯がズキズキと痛み出した…」こんな経験をすると、不安で眠れなくなってしまいますよね。なぜ、夜、横になると歯の痛みが増すのでしょうか。そのメカニズムには、私たちの体の生理的な変化が深く関わっています。最も大きな要因は「血流の変化」です。私たちが立っている時や座っている時は、重力の影響で血液は下半身に集まりやすくなっています。しかし、横になると、体全体が水平になるため、頭部への血流が増加します。歯の内部には歯髄(しずい)という神経や血管が密集した組織があり、もしここに虫歯などによる炎症(歯髄炎)が起きていると、血流の増加に伴って歯髄内の血管が拡張し、内部の圧力がさらに高まります。この圧力の上昇が、歯髄内の神経を強く圧迫し、結果としてズキズキとした拍動性の激しい痛み(拍動痛)を引き起こすのです。これが、横になると歯の痛みが強くなる主なメカニズムです。また、夜間は「副交感神経の働きが活発になる」ことも影響しています。副交感神経は、体をリラックスさせ、休息モードに切り替える役割を担っていますが、同時に血管を拡張させる作用もあります。そのため、夜寝る前や睡眠中は、日中の活動時よりも血管が拡張しやすく、歯髄炎などがある場合には炎症が悪化し、痛みを感じやすくなる傾向があります。さらに、夜間は「周囲の刺激が少なくなる」ことも、痛みをより強く感じる要因の一つです。日中は仕事や家事、会話などで意識が分散されていますが、夜静かな環境で横になると、体の感覚に意識が集中しやすくなります。そのため、日中は気にならなかった程度の痛みでも、夜になるとより敏感に感じてしまうのです。加えて、「唾液の分泌量の減少」も間接的に影響している可能性があります。睡眠中は唾液の分泌量が減少し、口の中の自浄作用や抗菌作用が低下します。これにより、細菌が活動しやすくなり、既存の炎症が悪化する一因となることも考えられます。これらの要因が複合的に作用することで、夜、横になると歯の痛みが顕著になるのです。もしこのような症状が続く場合は、早めに歯科医院を受診し、痛みの根本原因を取り除くことが重要です。