お子さんの顔つきを見て、「もしかしてしゃくれているのでは?」と心配になる保護者の方もいらっしゃるでしょう。子供のしゃくれ(下顎前突)は、遺伝的な要因だけでなく、日常の癖や習慣が影響している場合もあります。完全に自力で治すことは難しいですが、成長期のお子さんの場合、保護者の方が気をつけてあげることで、症状の悪化を防いだり、専門的な治療の効果を高めたりすることにつながる可能性があります。まず、お子さんの癖をよく観察しましょう。例えば、無意識のうちに下顎を前に突き出すような癖がないか、食事の際に下顎を前に出して噛んでいないか、といった点です。また、舌の癖も重要です。普段から舌が下の前歯の裏側を押していたり、飲み込むときに舌を前に出したりする癖(舌突出癖)は、下顎を前方に押し出す力となり、しゃくれを助長する可能性があります。舌の正しい位置は、上顎の少し後ろ(スポットと呼ばれる場所)に軽く触れている状態です。このような癖に気づいたら、優しく声をかけて意識させてあげることが大切です。次に、口呼吸の習慣がないか確認しましょう。鼻が詰まっているわけでもないのに、いつも口がポカンと開いている、寝ている時に口で呼吸しているといった場合は、口呼吸の可能性があります。口呼吸は、舌の位置を低くさせ、下顎の成長方向にも影響を与えると考えられています。鼻でしっかりと呼吸できるように、耳鼻咽喉科で鼻の通りに問題がないか診てもらうことも検討しましょう。そして、意識的に口を閉じて鼻で呼吸するよう促すことも有効です。指しゃぶりや爪噛み、唇を吸うといった癖も、長期間続くと歯並びや顎の成長に悪影響を及ぼすことがあります。これらの癖がしゃくれに直接的に繋がるわけではありませんが、口腔周囲の筋肉のバランスを崩し、間接的に影響する可能性は否定できません。年齢に応じて、これらの癖が自然になくなるようにサポートしてあげましょう。食事の際の姿勢や噛み方も大切です。猫背で食事をしたり、片側だけで噛む癖があったりすると、顎の成長バランスに影響することがあります。正しい姿勢で、左右均等によく噛んで食べる習慣をつけさせてあげましょう。