あれは数ヶ月前のことでした。朝、歯を磨いているときにふと舌の先に小さな赤いぶつぶつができているのに気づきました。最初は「何か食べ物で傷でもついたかな」くらいに軽く考えていたのですが、翌日になってもそのぶつぶつは消えず、むしろ少し大きくなっているような気さえしました。そして、何となくヒリヒリとした痛みも感じるようになってきたのです。食事の際には特に気になり、熱いものや味の濃いものがしみるようになりました。市販の口内炎の薬を塗ってみましたが、あまり効果は感じられません。数日経つと、ぶつぶつは一つだけでなく、舌の側面にもいくつか現れ、鏡を見るたびに憂鬱な気分になりました。インターネットで「ベロ ぶつぶつ」と検索すると、口内炎や舌炎、中には怖い病気の可能性まで出てきて、どんどん不安が募っていきました。特に「治りにくい場合は要注意」という言葉が頭から離れません。痛みも地味に続き、集中力も削がれるような気がしました。これはもう自己判断ではダメだと思い、意を決して近所の耳鼻咽喉科を受診することにしました。診察室で医師に舌を見せると、先生はルーペのようなものでじっくりと観察し、いくつかの質問をされました。「いつからですか?」「痛みはありますか?」「最近、体調の変化はありましたか?」など。幸い、診察の結果は「おそらく過労やストレスによる舌炎でしょう」とのこと。特に悪いものではなさそうだという言葉に、心底ほっとしたのを覚えています。塗り薬を処方してもらい、ビタミン剤を飲むこと、そして何よりも十分な休息を取るようにとアドバイスを受けました。薬を使い始めて数日後、あれほど気になっていたぶつぶつと痛みは徐々に引いていき、一週間ほどでほぼ元の状態に戻りました。この経験を通じて、体の小さな変化でも不安に感じたら早めに専門医に相談することの大切さを改めて実感しました。そして、日頃から自分の体調管理に気を配ることの重要性も痛感した出来事でした。