ドライソケットは、抜歯後の治癒不全の一形態であり、その進行に伴って見た目にも変化が現れます。初期段階から症状が進行するにつれて、どのような見た目の特徴が観察されるのかを理解しておくことは、早期発見と適切な対処に繋がります。まず、抜歯直後から数時間、通常は抜歯窩(抜歯した穴)は血餅と呼ばれる血液の塊で満たされます。この血餅は、傷口を保護し、感染を防ぎ、治癒を促進する重要な役割を果たします。この段階では、見た目は赤黒い血の塊で覆われているのが正常です。しかし、ドライソケットが発生する場合、この血餅が何らかの原因で早期に脱落したり、溶解したり、あるいは十分に形成されなかったりします。これが起こるのは、抜歯後およそ2日から4日目頃が多いとされています。この時期に、抜歯窩を鏡で確認すると、血餅が見当たらず、穴が空っぽに見えることがあります。これがドライソケットの初期の見た目のサインの一つです。さらに進行すると、抜歯窩の底に顎の骨が直接露出しているのが見えることがあります。骨は白っぽく、硬い組織として観察されます。周囲の歯茎は赤く腫れあがり、炎症が強い場合は暗赤色を呈することもあります。穴の内部には、食べ物の残りカスが詰まっているのが見えることもあり、これが細菌感染の原因となり、強い口臭を引き起こすこともあります。炎症が進行すると、膿のような滲出物が見られる場合もあります。これらの見た目の変化は、通常、抜歯後数日してから始まる激しい持続的な痛みと並行して現れます。痛みが強ければ強いほど、見た目の異常も顕著になる傾向があります。重要なのは、これらの見た目の変化に気づいた時点で、自己判断で放置しないことです。ドライソケットは自然治癒することもありますが、多くの場合、適切な処置をしないと治癒が遅れ、強い痛みが長引きます。速やかに歯科医師の診察を受け、抜歯窩の洗浄や保護などの処置を受けることで、症状の悪化を防ぎ、スムーズな治癒を促すことができます。
ドライソケット進行と見た目の変化を解説