奥歯の歯茎が痛む場合、その原因の一つとして「親知らず」が関わっている可能性があります。親知らずは一番奥に生えてくるため、様々なトラブルを引き起こしやすく、特に歯茎の痛みや腫れの原因となることが多いのです。では、奥歯の歯茎の痛みが親知らずによるものかどうか、どのように見分ければ良いのでしょうか。いくつかの特徴的なサインがあります。まず、「一番奥の歯茎が腫れて痛む」という点です。親知らずは上下左右の一番奥、つまり第3大臼歯にあたります。この部分の歯茎がピンポイントで赤く腫れていたり、ズキズキとした痛みを伴ったりする場合は、親知らずが原因である可能性が高いです。次に、「親知らずが完全に生えきっていない、または斜めに生えている」場合です。親知らずは、生えてくるスペースが不足していると、まっすぐに生えずに斜めになったり、歯茎の中に一部または全部が埋まったままになったりすることがあります。このような状態の親知らずの周りには、歯ブラシが届きにくく、汚れがたまりやすいため、細菌が繁殖し、歯茎に炎症(智歯周囲炎)を引き起こしやすいのです。鏡で口の中を見て、一番奥に不自然な生え方をしている歯がないか確認してみましょう。また、「口が開きにくい、飲み込みにくい」といった症状も、親知らずの炎症が進行しているサインです。炎症が周囲の組織に広がると、顎の筋肉に影響を及ぼし、開口障害や嚥下困難を引き起こすことがあります。さらに、「発熱や倦怠感など、全身症状を伴う」場合も、親知らずの炎症が重症化している可能性があります。炎症がリンパ節に及ぶと、首のリンパ節が腫れたり、発熱したりすることもあります。そして、「手前の歯(第二大臼歯)の後ろ側の歯茎が痛む」のも特徴的な症状です。斜めに生えた親知らずが手前の歯を押したり、親知らずと手前の歯の間に食べ物が詰まりやすくなったりすることで、その部分の歯茎に炎症が起こることがあります。これらのサインが複数当てはまる場合は、親知らずが原因で奥歯の歯茎が痛んでいる可能性が非常に高いと考えられます。自己判断せずに、歯科医院を受診し、レントゲン検査などで正確な診断を受け、適切な処置(洗浄・消毒、抗生物質の投与、場合によっては抜歯)を受けることが重要です。