私は物心ついた頃から、自分の横顔にコンプレックスがありました。他の人と比べて、なんとなく下顎が前に出ているような気がして、写真を撮られるのがあまり好きではありませんでした。特に思春期になると、その意識はますます強くなり、友人から「ちょっと顎、出てない?」と冗談めかして言われたことがきっかけで、自分の顎が「しゃくれている」のだと確信するようになりました。それからは、できるだけ横顔を見られないように意識したり、口元を手で隠すような仕草が増えたりと、どこか自信のない日々を送っていました。食事の際も、下の歯が上の歯より前に出ている「受け口」の状態だったため、前歯で食べ物をうまく噛み切ることができず、奥歯ばかりで噛む癖がついていました。滑舌もあまり良くなく、特にサ行やタ行が言いにくいと感じることがありました。このコンプレックスを何とかしたいという思いは常にありましたが、どうすれば良いのか分からず、また、治療には大変な時間や費用がかかるのではないかという不安もあり、なかなか行動に移せずにいました。しかし、成人し、社会人になってから、ある時ふと「このまま一生コンプレックスを抱えて生きていくのは嫌だ」と強く思うようになり、勇気を出して矯正歯科の門を叩きました。精密検査の結果、私の場合はやはり下顎が上顎よりも成長しすぎている「下顎前突症」であり、歯並びも反対咬合になっていると診断されました。先生からは、歯列矯正だけでは限界があり、顎の骨格的な問題を改善するためには外科手術を伴う「外科的矯正治療」が最も効果的であると説明を受けました。手術と聞くと最初は怖気づきましたが、先生が治療の流れやリスク、そして治療後の変化について丁寧に説明してくださり、また、同じような治療を受けた方の症例写真を見せていただいたことで、前向きに治療を考えることができるようになりました。治療は決して楽なものではありませんでした。術前の矯正、入院しての手術、術後の矯正と、数年にわたる長い道のりでしたが、少しずつ自分の顔貌や噛み合わせが改善していくのを実感するたびに、頑張って良かったと思えました。今では、長年のコンプレックスだった顎のしゃくれも解消され、自信を持って笑えるようになりました。
私の顎しゃくれ体験談コンプレックスと向き合う