下の歯並びが徐々に悪化してくるのは、見た目の問題だけでなく、虫歯や歯周病のリスクを高めたり、噛み合わせに影響を与えたりすることもあります。できることなら、これ以上悪化させずに、健康な歯並びを維持したいものです。では、下の歯並びの悪化を防ぐために、私たちは日常生活でどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。まず、最も重要なことの一つが「定期的な歯科検診」です。自分では気づきにくい歯並びの微妙な変化や、その原因となりうる親知らずの問題、初期の歯周病などを、歯科医師や歯科衛生士に早期に発見してもらうことができます。問題が小さいうちに対処することで、大きな悪化を防ぐことに繋がります。特に、親知らずが生えてくる時期(10代後半から20代)や、歯周病のリスクが高まる年齢(30代以降)は、注意深く経過を観察してもらうことが大切です。次に、「正しい口腔ケアの習慣」を身につけることです。歯並びが悪くなると、歯ブラシが届きにくい部分ができ、そこにプラーク(歯垢)が溜まりやすくなります。これが虫歯や歯周病の原因となり、さらに歯並びを悪化させる悪循環に陥ることがあります。毎日の丁寧な歯磨きはもちろんのこと、デンタルフロスや歯間ブラシを使い、歯と歯の間や重なり合った部分の汚れもしっかりと取り除くようにしましょう。また、「口腔習癖(こうくうしゅうへき)の改善」も重要なポイントです。舌で下の前歯を押す癖(舌突出癖)、唇を噛む癖、頬杖をつく癖、うつぶせ寝などは、持続的に歯に不適切な力を加え、歯並びを乱す原因となります。これらの癖は無意識に行っていることが多いので、まずは自分の癖を自覚し、意識して改善するように努めましょう。必要であれば、歯科医師や歯科衛生士に相談し、口腔筋機能療法(MFT)などのトレーニングを受けるのも効果的です。さらに、「歯を失ったまま放置しない」ことも大切です。虫歯や歯周病で歯を抜いた後、そのままにしておくと、隣の歯が倒れ込んできたり、噛み合う相手の歯が伸びてきたりして、全体の歯並びや噛み合わせが崩れてしまいます。歯を失った場合は、ブリッジや入れ歯、インプラントなどの方法で、できるだけ早くその部分を補うようにしましょう。