くちびるの腫れは、多くのケースでアレルギー反応が関与している可能性があります。しかし、その関連性が見過ごされ、原因不明のまま放置されてしまうことも少なくありません。くちびるの腫れが繰り返し起こる場合や、特定の状況下で頻発する場合は、アレルギーの可能性を強く疑うべきです。アレルギーによるくちびるの腫れは、主に「食物アレルギー」「接触アレルギー」「薬物アレルギー」の3つに大別されます。食物アレルギーの場合、摂取後数分から数時間以内にくちびるが赤く腫れ上がり、かゆみやしびれを伴うことがあります。蕎麦、ピーナッツ、乳製品、卵、小麦、甲殻類、果物などが一般的なアレルゲンですが、大人になってから発症することもあります。特に、口腔アレルギー症候群(OAS)は、特定の生の果物や野菜を食べた際に、くちびるや口の中にイガイガ感やかゆみ、腫れが生じるもので、花粉症を持つ人に多く見られます。次に、接触アレルギーは、くちびるに直接触れる物質によって引き起こされます。リップクリーム、口紅、歯磨き粉、洗顔料、化粧品、金属(アクセサリーや歯科治療で使われるもの)などがアレルゲンとなることがあります。新しい製品を使い始めた後や、アクセサリーを着用した後に腫れが生じた場合は、接触アレルギーを疑いましょう。最後に、薬物アレルギーもくちびるの腫れの原因となり得ます。解熱鎮痛剤、抗生物質、高血圧治療薬など、様々な薬剤がアレルギー反応を引き起こす可能性があります。薬を服用し始めてからくちびるが腫れた場合は、すぐに医師に相談し、薬剤の中止や変更を検討する必要があります。アレルギーによるくちびるの腫れは、症状が一時的であっても、放置すると重篤な全身症状に進行する可能性もゼロではありません。特に、呼吸困難や意識障害を伴う場合は、緊急性の高い状態です。くちびるの腫れがアレルギー性である可能性が考えられる場合は、アレルギー科や皮膚科を受診し、アレルゲン特定のための検査を受けることが、適切な治療と今後の予防につながります。