マスクをしていると、自分の口臭がダイレクトに感じられ、その原因の一つとして「舌苔(ぜったい)」が気になる方も多いのではないでしょうか。舌苔とは、舌の表面に付着する白い苔のようなもので、口臭の大きな原因の一つとされています。この舌苔とマスク口臭の関係性、そして正しい舌ケアの方法について詳しく見ていきましょう。舌苔の正体は、剥がれ落ちた口腔内の粘膜細胞、食べ物のカス、そして細菌の塊です。これらの有機物を細菌が分解する際に、揮発性硫黄化合物(VSC)という臭い物質が発生し、これが口臭となります。特に、舌の奥の方は唾液による自浄作用が働きにくく、舌苔が溜まりやすい場所です。マスクをしていると、口呼吸になりやすく、口腔内が乾燥しがちです。唾液の分泌が減ると、自浄作用が低下し、舌苔が厚く付着しやすくなるため、マスク生活で舌苔による口臭が悪化する可能性があります。では、この厄介な舌苔をどのようにケアすれば良いのでしょうか。正しい舌ケアのポイントは「優しく、やりすぎない」ことです。まず、舌ケアは1日に1回、朝の歯磨きの際に行うのが一般的です。起床時は唾液の分泌が少なく、細菌が最も増殖しているため、このタイミングでケアするのが効果的です。使用する道具は、「舌ブラシ」または「毛先の柔らかい歯ブラシ」です。舌ブラシは、舌の粘膜を傷つけにくいように設計されています。歯ブラシを使用する場合は、必ず毛先の柔らかいものを選び、歯磨き粉はつけずに使用しましょう。ケアの方法は、舌をできるだけ前に突き出し、舌ブラシまたは歯ブラシを舌の奥の方に軽く当て、手前に向かって優しく数回かき出すように動かします。ゴシゴシと力を入れたり、何度も往復させたりすると、舌の表面にある味を感じるための味蕾(みらい)を傷つけてしまう可能性があります。1箇所につき2〜3回程度で十分です。嘔吐反射が強い方は、息を止めながら行うか、ブラシを当てる位置を少し手前にすると良いでしょう。ケアの後は、水でよく口をすすぎます。舌ケアは毎日行う必要はなく、舌苔の付着具合を見て、気になる時に行う程度でも構いません。やりすぎは禁物です。正しい舌ケアを習慣にし、マスクの下でも清潔な息を保ちましょう。