奥歯の奥が痛み、同時に顎の下や首のリンパ節も腫れて痛む…。このような症状が出たとき、一体どこの病院の何科を受診すれば良いのか迷ってしまうかもしれません。「歯が原因かもしれないから歯科?」「リンパが腫れているから耳鼻咽喉科?」どちらも考えられますよね。ここでは、そのような場合の受診先の選び方について解説します。まず、症状の出方や他に気になる症状がないかを確認しましょう。もし、明らかな親知らずのトラブル(親知らず周辺の歯茎の腫れや出血、以前にも同様の症状があったなど)や、虫歯のような歯の痛みが先行している場合は、「歯科」または「歯科口腔外科」を受診するのが適切です。歯科医師は、レントゲン検査や口腔内診査を通じて、歯や歯茎の状態を詳しく調べ、親知らずの炎症(智歯周囲炎)や歯の根の先の炎症(根尖性歯周炎)などが原因かどうかを判断します。これらの歯科的な問題が原因であれば、洗浄・消毒、抗生物質の投与、必要に応じて抜歯や根管治療などの処置が行われます。一方、歯の痛みよりも喉の痛みや鼻の症状(鼻水、鼻づまりなど)が強い場合、あるいは発熱や咳、全身の倦怠感などが顕著な場合は、「耳鼻咽喉科」を受診することを検討しましょう。扁桃炎や咽頭炎、副鼻腔炎といった喉や鼻の炎症が原因で、奥歯の奥に関連痛が生じたり、頸部のリンパ節が腫れたりすることがあります。耳鼻咽喉科医は、喉や鼻の状態を観察し、適切な診断と治療(抗生物質や消炎剤の処方、吸入療法など)を行います。では、どちらを受診すべきか判断に迷う場合はどうすれば良いでしょうか。一つの目安として、「最初に症状が出た場所」や「最も強く症状を感じる場所」を考えてみましょう。また、かかりつけの歯科医院や内科医院があれば、まずはそこで相談してみるのも良い方法です。医師が症状を診て、より専門的な検査や治療が必要と判断すれば、適切な診療科を紹介してくれます。重要なのは、自己判断で放置せずに、早めに医療機関を受診することです。歯科と耳鼻咽喉科は、口腔・咽頭領域で密接に関連しており、連携して治療にあたることもあります。例えば、歯科的な問題が原因で副鼻腔炎が起きている場合(歯性上顎洞炎)などは、歯科と耳鼻咽喉科の両方での治療が必要になることもあります。どちらの科を受診するにしても、自分の症状をできるだけ詳しく伝え、医師の指示に従うことが大切です。