あれは、大好物のナッツを食べていた時のことでした。「ガリッ!」という、今まで聞いたことのない嫌な音とともに、口の中に硬い何かが…。恐る恐る指で触ってみると、それは紛れもなく自分の奥歯の一部でした。鏡で確認すると、奥歯の外側の壁が大きく欠けており、まるでクレーターのようになっているではありませんか。幸い、その時は強い痛みはありませんでしたが、舌で触るとザラザラとした感触があり、何よりも「自分の歯が欠けた」という事実に大きなショックを受けました。「どうしよう、このままにしておけない…」と焦り、すぐにインターネットで近所の歯科医院を検索し、翌日の予約を取りました。歯科医院を受診するまでの間は、できるだけ欠けた歯で噛まないようにし、柔らかいものを中心に食べました。それでも、舌が欠けた部分に触れるたびに不安な気持ちになりました。翌日、歯科医院でレントゲンを撮ってもらうと、やはり虫歯が原因で歯がもろくなっていたとのこと。自分では全く気づいていなかったのですが、詰め物の下で虫歯が進行していたようです。先生からは、欠けた範囲が広く、神経に近いところまで虫歯が及んでいる可能性があるため、まずは虫歯を丁寧に取り除き、状態によっては神経の治療(根管治療)が必要になるかもしれないと説明を受けました。幸い、私の場合はギリギリ神経を残せる範囲で虫歯を取り除くことができ、その後、歯の土台を作り、最終的にはセラミックの被せ物(クラウン)を装着することになりました。治療には数回の通院が必要で、費用もそれなりにかかりましたが、治療後は欠ける前よりもきれいで丈夫な歯になったように感じています。この経験を通して、定期的な歯科検診がいかに重要かを痛感しました。自覚症状がなくても、口の中では問題が進行している可能性があるのです。そして、もし歯が欠けてしまったら、自己判断で放置せず、すぐに専門医に診てもらうことの大切さを改めて学びました。あの時の「ガリッ」という音は今でも忘れられませんが、それを教訓に、これからはより一層口腔ケアに気を配ろうと心に誓いました。