自分の顎がしゃくれているのではないか、と気になり始めると、鏡を見るたびに憂鬱になったり、人目が気になったりすることもあるでしょう。「何か自分でできることはないだろうか?」と考える方もいるかもしれません。しかし、結論から言うと、顎の骨格的な問題が原因である顎しゃくれを、自力で完全に治すことは非常に困難です。顎の骨の形や大きさは、成長期にほぼ決まってしまい、成人になってからは自分でコントロールできる範囲は限られています。ただし、症状の悪化を防いだり、見た目の印象を少しでも和らげたりするために、日常生活で意識できることや、専門家の助けを借りることで改善が期待できることもあります。まず、顎しゃくれの原因の一つとして考えられる「口腔習癖(こうくうしゅうへき)」に心当たりがある場合は、それを改善する努力をしましょう。例えば、舌で下の前歯を内側から押す癖(舌突出癖)がある場合は、意識して舌を正しい位置(上顎のスポットと呼ばれる部分)に置くように心がけます。唇を噛む癖や、頬杖をつく癖、うつぶせ寝なども、顎に不適切な力を加える可能性があるため、できるだけ避けるようにしましょう。これらの癖は無意識に行っていることが多いため、まずは自分の癖を自覚することが第一歩です。また、「姿勢を正す」ことも間接的に影響する可能性があります。猫背やストレートネックなど、悪い姿勢は首や顎周りの筋肉のバランスを崩し、顎の位置に影響を与えることがあります。正しい姿勢を意識することで、顎への負担を軽減できるかもしれません。さらに、「表情筋のトレーニング」も、顎周りの筋肉のバランスを整え、見た目の印象をスッキリさせるのに役立つ場合があります。口角を上げる運動や、舌を上下左右に動かす運動など、無理のない範囲で試してみるのも良いでしょう。ただし、これらのセルフケアは、あくまで症状の悪化防止や補助的なものであり、顎しゃくれそのものを治すものではありません。もし、顎しゃくれが原因で噛み合わせが悪い、発音がしにくい、見た目がコンプレックスになっているなど、具体的な悩みがあるのであれば、自己流で解決しようとせず、まずは歯科医師や矯正歯科医、場合によっては美容外科医などの専門家に相談することが最も重要です。
顎しゃくれが気になる…自分でできることある?